『ブログ』という発信ツールのこれまでと現在地

ブログで稼ぐ!!

ブログのこれまで - インターネットの普及と個人ブログ全盛期 –

ブログが世の中に浸透しだしたのは2000年代の前半。パソコンと通信回線が各家庭に普及し、誰もが気軽にインターネットを利用できる環境が整いました。
これにより、個人がブログを開設し、情報発信できるようになったのです。
『個人が不特定多数に向けて自由に発信するツールを得られる』というのは、当時学生であった私にとってはとても衝撃的な世の中の変化でした。

更にそこから波及し、個人がブログに広告を掲載するなどしてお金を稼ぐこともできるようになりました。ここから当時の言葉で「ブロガー」と呼ばれる、ブログを使った情報発信で収入を得る人たちが多く登場します。
当時、個人運営されるブログにはいくつかのタイプがありました。

  • 情報発信ブログ
    情報ポータルサイト(まとめサイトとも呼ばれる)や記事系ブログなど、情報価値の提供を行うタイプのブログ。スポーツ観戦やゲーム攻略など趣味的なジャンルはもちろん、現在では企業が参入しているような飲食・家電・不動産といったジャンルまで、当時は幅広く個人サイトとして運営されていた。
  • 自己発信ブログ
    雑記ブログとも。ブログを媒介に個人の日常やキャラクターを売りにして人気者になる、というタイプのもの。(ブロガー、という言葉のニュアンスには、こちらのタイプのイメージが強いかもしれません。)

しかし以降、環境は大きく変わりました。

ブログのこれまで - 企業サイト(ブログ)の進出とSNSの浸透 –

ひとつの環境の変化は、企業の参入です。
特に情報発信ブログの中で大きな収益を上げることができるジャンルには多数の企業が参入してきました。例えば、ブログ黎明期には飲食店の評価サイトや家電製品の比較サイトなどを個人が運営し収益を得ているケースがありましたが、現在では食べログ・価格コムなどに置き換わり、個人ではとても太刀打ちできません。その他、保険・金融商品・不動産・ふるさと納税など、高収益が見込めるジャンルは企業の参入が多く、こういったジャンルではかつてのように個人で情報発信ブログを立ち上げたところで戦っていくことは難しいでしょう。

もうひとつの環境の変化は、SNSの浸透です。
これは特に自己発信ブログが大きな影響を受けました。なんとなくイメージが付くかもしれませんが、個人が自分のキャラクターを売りにして人気者になるためのツールは、ブログからSNSに移り変わりました。今でも、もともと既に知名度のある人がブログで日常や考えを発信する分には需要がありますが、個人がブログを使ってゼロから人気者になるのはかなり厳しい道でしょう。

ブログの現在地 - 人々の検索欲求の受け皿としての価値 –

このように、現在ではかつてに比べると個人がブログで稼げる領域は狭くなりました。

特に先述のとおり、個人の日常やキャラクターを発信する自己発信ブログは、現在の情勢からするとあまり有効とは思えません。
現在、自己発信のためのツールはSNSが主流となり、即時性・リアルタイム性が非常に重視されています。文章はより短文が好まれるようになり、ショート動画や配信も人気があります。これらの流れは一時的なトレンドや流行を越えて、もはやそれがスタンダードとして定着しつつあります。自己発信のためのツールとして、ブログがこの流行に乗っていないことは明白です。
もちろん今後、個人が長文で自己発信する流行がやってくる可能性までは否定できませんが、少なくとも短期的にみてそれが訪れることはないでしょう。

流行に乗ることが絶対だとは思いませんが、お金を稼ぐということになると一定数以上の閲覧者が必要です。ブログで自己発信をしながら閲覧者を獲得していくにはかなりの覚悟が必要です。

現在のブログの役割は、人々の細かな検索欲求に応える部分に残されていると考えます。
日々の生活の中で、人々の「知りたい」という欲求がなくなることはありません。そして、その「知る」ための行動として「インターネット検索」が選ばれる世の中である限り、ブログにはその欲求に応える存在としての価値があります。

もちろん先述の通り企業サイトがそれを担っている部分も大きいですが、人々の細分化された検索欲求まではとてもカバーしきれていません。企業サイトではカバーできていない部分の検索欲求に応えることが、個人ブログに残された”稼げる領域”だと思います。
このことを意識して、人々に需要のある(そしてできれば企業と競合しない)ジャンルを選ぶことができれば、あなたのブログは人々に必要とされるものになるでしょう。

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